着物は季節によって着るものが変わります。
寒い季節は袷の着物で暖かくしますし、初夏や初秋は単衣の着物、さらに盛夏は薄物を着て涼しげに装います。
でもそれだけではありません。
着物には季節にまつわるさまざまな柄があります。
この着物の柄を、季節を先取りして選ぶことで「粋」に着物を着こなせます。
ここではどの着物柄をどの季節に着たらよいかをまとめました。
季節の先取りってどういうこと?
着物の柄には花をモチーフとしたものがあります。
この花の柄は、それぞれ季節を表します。
春の花が柄となっていれば、それは春の着物、夏の花が柄になっていれば、夏の着物というわけです。
またその他にも、お雛様やお祭りなど季節の行事にちなんだ柄や、虫や雲など自然にちなんだものもあります。
それらもそれぞれの季節を表します。
ただし季節の着物は、季節を先取りして着るのが粋に着こなすポイントです。
期間としていえば、半年から1ヶ月くらいになります。
具体的にいえば、桜の花が咲く直前、つぼみの季節に桜の柄の着物を着るのは粋なことです。
しかし逆に、桜が満開だったり、散ってしまったあとに桜の柄の着物を着るのは、野暮ということになります。
それぞれの季節の柄は?
それではここで、それぞれの季節の花柄を紹介します。
3月の柄
お雛様・蝶・桃・菜の花・たんぽぽ・すみれ・桜草・紅梅・桜・菖蒲・藤・椿
4月の柄
水紋・流水・行雲・桜(4月前半は開花桜、後半は散り桜)・こぶし・くちなし・藤・牡丹・柳・霞
5月の柄
こいのぼり・花筏・御所とき模様・花鳥・流水・雲・雨・藤・牡丹・かきつばた・あやめ・花菖蒲・あじさい
6月の柄
雨・海・雲・虫・蛍・あじさい・ユリ・あざみ・菖蒲・さくらんぼ・牡丹・笹・竹・柳
7月の柄
流水・風鈴・千鳥・荒磯・魚・貝・波・すいれん・山百合・朝顔
8月の柄
水・雲・波・お祭り・萩・すすき・おみなえし・ききょう・秋の七草模様・ひまわり・朝顔
9月の柄
お月見・月兎・雁・ききょう・すすき・栗・萩・菊
10月の柄
とんぼ・菊・紅葉・ぎんなん・りんどう・すすき
11月の柄
熊手・枯山水・風景文様・物語文様・柿・さざんか・紅葉・落ち葉・唐草・山と雑木・枯れ葉ちらし・菊
12月の柄
冬景色・星や月などの天体模様・雪輪・金箔・銀箔を使ったもの・更紗などの異国模様・水仙・寒椿・南天・カラスウリ・まつ
1月の模様
干支文様・宝船・雪・福寿草・松竹梅・水仙・千両
2月の模様
うぐいす・椿・蘭・笹・霞模様・梅・水仙・椿
桜の柄には2種類の季節がある
着物の柄で、桜が入れられたものは多いです。
この桜の柄、「春の花だから春に着る」という考え方と、「国の花だから季節には関係ない」という考え方と、2種類あります。
着物の柄が、桜の枝や木が加えられている場合には、その柄は「春」を表しています。
逆に菊やなでしこ、蝶などが加えられている場合には、「国の花」を表します。
桜を春の季節を表すものとして着る場合には、せいぜい桜が三分咲きくらいまでですので気をつけましょう。
蝶の柄は一年中着てもよい
蝶の柄は、一応は上の分類では、「3月の柄」としています。
ただし蝶は、1年中着ることもできます。
蝶は昔から公家の装束に取り入れられたり、歌舞伎や能の装束にも使われたりしています。
これは蝶が青虫から蛹・蝶と姿を変えるため、「出世できる」と縁起が担がれているからです。
ですので蝶は、季節の柄というよりも、縁起がよい柄として入れられている、だからいつ着てもよいというわけです。