米沢紬は、山形県は米沢盆地で生産されます。
米沢盆地の中でも、特に長井町が中心なので、長井紬とも言われます。
米沢紬の生産は、米沢藩第9代藩主上杉治憲が、藩政改革の一環として紬の生産を推し進めたことから始まったのだそうです。
紬糸、玉糸を平織りにするのが基本で、きれいな絣模様が特徴です。
米沢紬の特徴
米沢紬は、上杉治憲の奨励により江戸時代に始まりましたが、さらに明治になり、新潟から指導者を迎えたことで大きく発展したのだそうです。
この指導者から伝えられたのが絣の技術で、それにより、現在の米沢紬のきれいな柄が、出せるようになりました。
米沢紬は、手触りは、ふんわり柔らかいのが特徴です。
でありながら、見た目は艶やかな紋様が染め込まれていることが、大きな魅力だと思います。
この艶やかな紋様は、琉球紬にも似たところがあると言われています。
そこで米沢紬は、「米琉絣」と呼ばれることもあります。
米沢紬の絣の技術
絣は、紬などの織物に使われる、染め方の技術です。
織り上げた反物を染めるのでなく、あらかじめ糸に紋様を染め上げて、その糸で織ることにより、紋様を描き出します。
糸を染めるのと、織物として織り上げるのとが、うまく合わさらないといけませんので、絣はかなりの手間がかかる、高度な技術だといえるでしょう。
絣の技術は、絣を経糸だけに使ったり、横糸だけに使ったり、どちらにも使ったりするそうですが、米沢紬は基本的に、横糸だけに絣糸を使う、横絣の織物です。
また米沢紬には、綾織りと呼ばれる技術もあります。
横絣である米沢紬に、経糸に工夫をすることにより、地の部分にアクセントを付けたものです。
この技術により、糸の交差点が斜めに走る、斜め紋様が表れます。
それにより、普通の横絣に比べて、艶やかさが加わります。
すり込み染めの技術
絣は、糸で縛ることにより、糸のある部分に染料が染まらない場所を作ることで、紋様を作ります。
しかしそれだけだと、紋様は白いものしか出来ないことになりますので、それに加えて、すり込みの技術を使います。
すり込みは、竹べらで染料を、糸にすり込んでいく技法です。
こうすることにより、白以外の様々な色の模様を出せることになっています。
模様が白だけだと、どうしても黒や藍など、濃い色の織物でないと映えません。
でも様々な色が使えれば、もっと明るい色の織物も作れることになります。