由水十久の着物や帯の買取価格相場と特徴

オリンピックも2020年に開催されるということで、海外からの人気が高まっている着物。
しかしなかなか着付ける機会がなく、ひっそりと眠っている物もあるでしょう。

こちらでは由水十久の着物や帯についての買取相場や特徴を紹介しています。
どれくらいの相場なのか、どんな着物なのか気になる人は参考にして下さい。

由水十久の着物や帯について

加賀友禅は石川県金沢市の伝統工芸で、「ボカシ」や「虫喰い」といった独特な技法、加賀五彩をまとった友禅美を基調としています。

それは写実的とも表現され草花が描かれた作品が多いのですが、童子文様作家とも言われる初代由水十久は、ひときわ異彩を放っています。

童子の髪の毛一本一本まで丁寧に繊細に描かれた作品は、まさに着物ファンの憧れです。

買取価格相場

状態が良いものならば10万~20万円以上が取引相場です。
ただ特に初代由水十久の作品は、一般的には数多く出回っていないため、さらに評価されるケースもあるでしょう。

中古リサイクル品であれば初代由水十久の訪問着で50万円~、色留袖の場合200万~500万円以上の値段で販売されています。
由水十久の名古屋帯は5万~12万円程度です。

新品になると最低でも2倍以上の価格となり希少価値はかなり高いでしょう。

由水十久といえば童とも言われていますが、童1体につき100万円の値打ちがあるとされ、芸術的な観点から美術展示品として扱われてもおかしくないのです。

現在活躍する二代目由水十久の作品も同様の価値が付いています。

由水十久は加賀友禅の作家なので、加賀染振興協会による手描技術登録者の落款が押されているのが特徴です。
初代は四角、二代目由水十久は六角となります。

着物の価値を高めるのは、「誰が作ったか」「品質」「希少価値」によって、決められると言っても過言ではありません。

多少の汚れやシミがあったとしても、由水十久のような日本が誇る作家作であることが証明できれば、高価買取したいと申し出る業者は多いでしょう。

もし着付ける予定がない、自分で保存できないなどの問題を抱えているなら、適切な評価額で買取をしてもらい後世に残すことも可能です。

着用回数が少なく新品に近い状態であるほど評価されますよ。

特徴

大正2年金沢市加賀で産まれた、激動の昭和を生き抜いた由水十久(ゆうすいとく)は、加賀友禅を代表する作家です。

特に特徴的なのは、加賀友禅ならではの花鳥風月ではなく、人物をモチーフにした文様がほとんどだ、ということです。

加賀友禅特有の「糸目糊置」を自由自在に使いこなし、まさしく糸のようにか細い防染を行い、指先から髪の毛、童の着物も丁寧に繊細に描いています。

初代は京都で京友禅の修行を積んだ後、幼い頃から愛していた日本画を習得するために再び金沢に戻り、昭和13年独立しました。

昭和52年に伝統工芸士として認定され、海外でも個展を開き、作品をどんどん公表することで友禅美を世界に広めたのです。
現在でもファンが数多く存在しています。

昭和63年、惜しまれながら享年74歳でこの世を去りました。 
現在は次男である二代由水十久、長男の由水煌人氏も加賀友禅伝統工芸士として活躍しています。

着る人のストーリーや、着物のストーリーを常に考えながら作品に取り組む由水十久。
着物だけでなく歌舞伎・能・壁画装飾・茶道などの道にも精通した独自の世界観は、今なお日本国内外でファンを魅了してやみません。