引越しや遺品整理で状態が良く価値がありそうな着物が出てきた経験はないでしょうか。
そのまま処分するのはなんとなく気が引けますよね。
着物は元値が高い高級品なので、必要なくなった場合は価値を付けてくれる専門業者に査定してもらうことをお勧めします。
着物通が探し続けるお洒落で希少価値のある作品は、案外普段着物は着ない人のタンスに眠っていたりするものです。
惜しまれつつ閉店してしまった紬屋吉平で扱っていた着物などはその際たるものでしょう。
市場でも出回っていない幻の作品とも言える価値あるものです。
紬屋吉平の着物や帯について
創業は180年の歴史ある紬屋吉平は銀座に店を構えていましたが、惜しまれつつ閉店してしまった着物卸屋です。
今でも多くのファンを持つと言います。
6代目の女将だった浦沢月子氏は、義理の父である5代目から目はしのききようと才能を見込まれ、一緒にお店をやらないか?とスカウトされたそうです。
文壇や歌舞伎界など多方面から顧客を持っていたことで知られ、今では伝説の名店だと語り継がれている、紬屋吉平の着物や帯の価格相場はどうなっているのでしょうか。
買取価格相場
もうお店が閉店しているということで、誰かが手放さない限り新品が世にでるのは現状なさそうです。
ファンがたくさんいるのは確かですが、需要と供給が一致していないのが現状と言えるでしょう。
紬屋吉平といえば結城紬が有名ですが、中古品で20万円以上の値段がついています。
名古屋帯は3万円前後でしょう。
個性的なデザインが多く着る人を選ぶとも言われる紬屋吉平ですが、ほぼ流通していないことを考えると、見かけた時は幸運だと思ってじっくり検討されてはどうでしょうか。
もし手放すことを検討する場合、きちんと評価してくれる専門家に依頼することをお勧めします。
目利きのきく鑑定士は、着物買取専門店に所属していることが多いですが、そのような店には珍しい着物や反物が入荷したら、いくら出しても欲しいと所望する太客を持っているため、リサイクルショップや質屋よりも高値で買取りしてくれることが多いでしょう。
出来るだけ綺麗に保管していることは絶対条件になります。
虫食いやカビが発生しないようケアして下さいね。
特徴
紬屋吉平は結城紬や黄八丈、越後上布を中心に扱う老舗でした。
特に名物女将だった浦沢月子氏は銀座ではトレンドリーダーさながら目利きがきくと評判でしたが、その美しい佇まいに男女問わず惹きつけられていたようです。
舅(しゅうと)に当たる5代目までは日本橋に店がありました。
しかし戦争で焼けてしまい、女将の希望で銀座に移転しました。
織る人の心を理解するために自ら機織りにチャレンジしてみたり、月に二、三度は福島や八丈島へ機地に旅行して、職人と一緒に創作したりと強い志を持った、現在でいうところのキャリアウーマンでした。
彼女は結城紬には独自の見解を持っており、高価であるのに光沢が控えめで地味な色合いが特徴ですが、これほど使い勝手の良い着物は無いと思っていたのだとか。
紬屋吉平が閉店して随分経ちますが、雑誌や本に掲載されている浦沢月子氏の言葉を読んでみると、凛とした中に優しさと力強さを持つ女性だということが分かります。
着物ファンならずとも女性の憧れとも言える存在ですね。
昭和44年に出版された「きものの手本」や、平成11年出版の「柄 きものと帯」では不思議と新しくお洒落な浦沢月子流のコーディネートを垣間見ることができますよ。