着物には織り方、染め方、素材、色や文様に特徴があり、人それぞれ好みがあると思います。
これだ!というものを見つけた時は胸が震えて、手にとってずっと眺めていたくなるでしょう。
上手に着付けて人に自慢したくもなりますね。
しかし不思議なものでどんなに好みであっても、時間が経てば出番がなくなってしまい、別の着物に夢中になることも多いです。
片付けていては勿体無いので、高く買取りしてくれる専門家に価値を付けてもらうのも良いでしょう。
こちらでは沖縄の喜如嘉で唯一作られている芭蕉布の作家、平良敏子の着物や帯の特徴、相場などを紹介しています。
着物が好きな人はぜひ読まれてくださいね。
平良敏子の着物や帯について
高級織物芭蕉布は伝統工芸が盛んな沖縄でたくさん作られていましたが、現在では平良敏子が身を寄せる、大宜味村喜如嘉が唯一の製作拠点となっています。
芭蕉布は飽きのこない自然な色合いで、風通しがよくサラサラと肌に纏わりつかないため、古くは13世紀から沖縄で夏向けの衣類として重宝されていました。
高温多湿の沖縄地方だからこそ生まれた産物と言えるでしょう。
芭蕉の繊維はとても細く繊細で、出来上がった織物はまるで蝉の羽のごとくうっすら透けています。
ただ喜如嘉の存命する技術者の高齢化が進み、年間生産高は約250反と極端に少ないため、呉服屋等で見かけるのは難しいと言います。
平成12年に人間国宝に認定された平良敏子は、96歳を過ぎても現役で芭蕉布の火を絶やさないよう労を尽しているのです。
買取価格相場
新品の反物はおよそ50万~280万円、名古屋帯は25万~70万円が相場です。
喜如嘉芭蕉布の証紙が貼られています。
中古品は市場に出回ることが少なくほとんど見かけることができません。
そのため買取相場もはっきり決まっていないのが現状です。
ただ新品は値段が高くて手が出ないけど、中古品ならば欲しい!と切望する人も少なくないのです。
喜如嘉では芭蕉布の原料の盗難が続出して問題視されているほど、大変貴重な物として扱われています。
非常に価値のある芭蕉布ですが、手放すならば必ず確かな知識と目で査定してくれる業者を探しましょう。
最近では自宅に無料査定してくれる業者も増え、わざわざ出かけずに住むようになりました。
リサイクルショップや質屋は着物以外の物も広く取り扱うため、避けた方が懸命でしょう。
専門知識の必要な、伝統工芸品や有名作家作の着物を正確に査定することは難しいのです。
少しでも高く買取してもらうコツは、伝統工芸品マークや作家を証明する証紙は保管しておくこと、状態が良いことが高価買取の最低条件なので、シミや汚れがつかないように綺麗に畳んでおき、クリーニングに出すなら必ず専門店に依頼することです。
新たに着物を購入するときは偽物をつかまされないように、必ず本物であるか証紙を確認してくださいね。
特徴
芭蕉布は20近くの工程を重ねて一反が出来上がる、およそ500年以上の歴史がある複雑な織物です。
多年草糸芭蕉の木から取れる繊維を細かく割いて、絣結びをして天然染料で染め、精錬、洗い、仕上げまでおよそ半年かかると言われます。
「苧績み(うーうみ)」と呼ばれる糸と糸を繋ぐ作業が出来る職人も減ってしまい、近年やっと世界的にも認められた芭蕉布ですが、後継者育成が大きな問題になっているようです。
芭蕉布は沖縄の女性たちの信念によって育まれました。
大正10年に沖縄で生まれた平良敏子は、第二次世界大戦で女子挺身隊のメンバーでした。
終戦後、焼け野原だった沖縄を後にし倉敷へと渡ります。
倉敷紡績では60名の女性が働き、その際平良敏子の指導を担ったのが外村吉之介氏です。
沖縄に戻った昭和22年から芭蕉布織を始め、戦後の混乱で苦しい生活の中、平良敏子は仲間の女性たちと制作に取り組みました。
弟子たちに支えながら96歳を超えてもなお第一線で作り続けています。
平良敏子の人生は芭蕉布に捧げたと言っても過言ではないでしょう。
繊細で美しく独自の風合いを持つ芭蕉布には、このような長い歴史背景があることを、後世に必ず伝えなければなりませんね。