遺品整理をしていたら大量の着物が出てきて処分に困っている、という悩みはよく聞きます。
着物は洋服よりも高いというイメージですし、実際その通りです。
簡単に処分するといっても、思い出丸ごと捨ててしまうようでなんとなく罪悪感があるでしょう。
そこでお勧めしたいのが着物買取専門店で査定してもらうことです。
きちんと価値の分かる専門家に依頼してみましょう。
こちらでは着物ファンで知らない人はいないという久留米絣の作家、森山虎雄の着物の特徴や相場を紹介しています。
お手元に森山虎雄の作品をお持ちならぜひ読んでみてくださいね。
森山虎雄の着物について
伝統工芸に認定されている着物は数々ありますが、福岡県久留米市・八女市周辺で製造されている絣(かすり)を久留米絣(くるめがすり)と言います。
江戸時代では庶民の着物として広く普及していましたが、明治時代に入ると次第に洋服へと移行したため、生産量が限られてしまいました。
しかし現在では手織りから機械織りにシフトして量産化できるようになり、着物だけでなく洋服・鞄・財布・エプロンなどにも使われ、再びブームとなっているのです。
綿素材で洗うほどに美しさが洗練されて、心地よい柔らかさを感じることができます。
植物染料の藍を用いる藍染めを行い、紺に白または青抜きの絣柄が特徴ですが、現在では化学染料を取り入れて、カラフルな久留米絣も販売されています。
そんな久留米絣の第一人者であったのが、人間国宝に認定された森山虎雄です。
今でも数多くのファンを持っており、何としても手に入れたいと熱望する人が後を絶ちません。
買取価格相場
手織りを取り扱う問屋も激減し、滅多に市場に出回らないため非常に希少価値が高いでしょう。
反物は10万~100万円以上で、初代・2代目両者作品とも何点か福岡県立美術館に収蔵品として保管されています。
買取相場は5万円~でさらに高額になる可能性があるでしょう。
手織りの久留米絣は製造過程が細部に別れており、1つの反物を織り上げるまで非常に手間がかかるのです。
一ヶ月で一反織り上げるのも稀ではなく、重要無形文化財の指定を受けられる久留米絣は、藍染めで職人による手織りの工程を経たものだけです。
これらのことを知り、確かな目を持って査定できる専門家の力を借りなければ、簡単に手放すのはやめておきましょう。
もし処分を考えるならリサイクルショップや着物買取専門店ではなく、伝統工芸作品を中心に取り扱う着物専門店に持っていくことをお勧めします。
重要無形文化財である久留米絣は、久留米絣協同組合の証紙、重要無形文化財のラベル、経済産業省の伝統証紙などが貼られているので、それを保管しているなら、必ず一緒に査定に出すようにしましょう。
特徴
久留米絣は江戸時代に久留米に住んでいた、当時12歳の井上伝という女性が始めました。
久留米絣の織り方は、あらかじめ染め分けた絣糸を経糸と緯糸に交差させる平織りです。
柄の部分が染まらないように手作業で一つ一つ糸をくくりつけるのが特徴的で、緻密な柄になるほど何度も糸をくくりつけます。
その作業を想像すると気が遠くなりそうですが、職人による技の結晶があの美しい絣柄に生まれ変わるのですね。
久留米絣を語る上で必ずその名前が挙げられる作家、2代目森山虎雄は明治42年に福岡県八女郡に生まれました。
代々久留米絣を作り続けていた家系で幼い頃から機織りが身近な存在でした。
16歳を過ぎた頃から本格的に技術を習得し、昭和34年に重要無形文化財技術保持者に認定され、鍛錬を重ねながら後継者育成にも取り組んだそうです。
投杼機を使って手と足を使い織る技術は大変な技術を要しますが、仕上がりは手織りの温もりを感じさせる作品となっています。
江戸時代で庶民に愛された久留米絣。
現代においても違和感なく着られるのは素晴らしいですね。
もし手織りの久留米絣を手に取ることがあれば、機械織りとの違いを確かめてはどうでしょうか。
織り方それぞれの良さがあると思いますが、市場価値として考えるとその差は歴然であるのかもしれません。