金沢と東京を結ぶ北陸新幹線の開通で、金沢までおよそ二時間半で行けるようになりました。
早朝から出発すれば日帰り旅行でも楽しめる距離ですね。
なんとなく足が遠かったけれど、本場加賀友禅に出会えるチャンスと、出かけた人もいるのでは無いでしょうか。
こちらでは加賀友禅を代表する作家でもある柿本市郎の着物や帯について、
また買取相場についてまとめました。
加賀友禅に興味がある人はぜひ一読してみて下さいね。
柿本市郎の着物や帯について
日本には美しい庭園の数々が存在していますが、
加賀百万石と言われる金沢にも国の特別名勝に指定されている兼六園がありますね。
加賀友禅の巨匠、柿本市郎は兼六園や散歩道にある自然美を忠実に写生することで知られています。
時間や温度によって全く違う顔を見せる自然や風景、それを何度もスケッチを重ねて表現することに重きを置いており、加賀友禅作家としては正統派の部類でしょう。
日本国内に留まらず、海外へ旅行した時に見たオーロラをも題材にしたいそうです。
加賀では吉祥模様と新婦の実家の家紋を染めた友禅暖簾も知られていますね。
お昼のドラマで一躍有名になった「花嫁のれん」の別名もありますが、婚礼で用いられる風習です。
柿本市郎は娘さんが嫁ぐ時、花嫁のれんを製作・贈呈した逸話もあります。
心が込められた素晴らしい作品だったのでしょうね。
買取価格相場
中古の黒留袖や色留袖は12,000円~120,000円程度が相場です。
新品の黒留袖の場合、80万以上の価格でやり取りされています。
新品の帯は3万~8万円前後と言ったところです。
だいたい1万円前後が買取相場でしょう。
黒留袖の場合はさらに高額になる可能性が高いです。
人間国宝・木村雨山氏に直接師事し、今や本加賀友禅を代表する作家でもあるため、ますます市場価値は高まっています。
加賀友禅は日本三大友禅の一つです。
全ての工程をたった一人で行うことで知られています。
自分の表現したいことを取り入れながらも、伝統方式は守る、非常に孤独で根気のいる仕事と言えるでしょう。
作家ごとに作風が全く異なりますが、柿本市郎作品は自然の美しさをそのまま切り取ってきたかのような、絵画的な美しさが評価されています。
もし売りに出す場合は、いくらで落札されるか分からないオークションや質屋を利用するより、伝統工芸品の価値を理解している専門家に正確に査定してもらうのをお勧めします。
それまで長期間保管しておくのはお勧めしません。
まず着物の保存方法が難しいのと、湿気や日焼けで劣化してしまうからです。
また流行の色やデザインは日々刻々と変わっていきます。
加賀友禅は加賀染振興協会によって厳しく審査され、認定されたものだけに品質を保証する証紙が発行されます。
もし手放す際には証紙も忘れずに査定してもらいましょう。
ただ協会に加入していない加賀友禅作家もいます。
証紙が無いからと言って作品が価値がない物という訳ではありません。
例えば絹100%と決められているため、変わり織り生地を用いた作品には証紙を貼ることができないのです。
専門知識がある鑑定士に大切な着物を見てもらえるのが一番ですね。
特徴
金沢で生まれた柿本市郎は、三人の師を持つと言われています。
まずは石川県立工業高校在学中に講師であった人間国宝・木村雨山、卒業後は加賀友禅作家として有名な金丸充夫、能川光陽です。
仕事に対する考え方、友禅の技術、自然美に自分の思いを乗せて写実することなど、今の柿本作品に通じる全ては巨匠たちから教えられたものです。
各種の作品展で入賞、平成6年には石川県指定無形文化財・加賀友禅技術保存会会員に認定されています。
加賀五彩の色使い、ぼかしや虫食いなどの加賀友禅独自の技巧、見たままを表現する写実性を取り込んだ素晴らしい作品が特徴です。
加賀友禅をはじめ、伝統的な古典的作風を用いた着物を眺めていると、本当に日本人に生まれたことを誇りに感じますね。
私たちは着物を着続けることで、その文化を継承していきたいものです。