TPOを選ばない便利な色無地

TPOを選ばない便利な色無地

色無地は、黒以外の色で染めた、模様のない着物のこと。
紋を入れれば訪問着や付け下げなどと同様に礼装として、また紋がなければ略礼装や普段着としても着ることができ、さらに黒帯をすることで略式の喪服としても使えるという、TPOを選ばない便利な着物です。

「TPO」とは、「時と所と場合に応じた」という意味で、場違いな着物を選んではいけないということですね。

初めの一枚は色無地とする人も多い便利さ

色無地は柄は入っていませんが、品格と華やかさを兼ね備えています。
そのため色無地が一枚あれば、知人の結婚式や披露宴、子供の七五三や入学・卒業式、茶席や訪問・パーティーなど、幅広い場で着用できます。

その便利さから、結婚して初めに着物を買う際には色無地を選ぶ人も多いです。

さらに色無地は、きちんとした生地のものを買っておけば、4~5回染め直すことができます。
そのたびにちがった色にできますから、1枚の着物で様々な色合わせも楽しめます。

素材は縮緬や綸子のものが多いです。
これらの素材は、礼装着としても着用できます。

紬で作られた色無地もありますが、これは礼装には向かないとされています。
なので紬の色無地は、おしゃれな普段着として考えた方がいいと思います。

庶民に色無地が広がったのは戦後になってから

江戸時代、庄屋の主人のお供をする使用人の女性には、改まった場では紋付きの色無地を着ることが義務付けられていました。
また大正時代には、紋付きの色無地が、現在の振袖や留袖と同様の、第一礼装とされていました。

それでも色無地は、比較的一部の人が着るものだったのが、庶民が着るようになったのは戦後になってからだと言われます。
背景には、教育制度の普及がありました。

母親が子供の入学式や卒業式に参列する機会が増え、それにともない、色無地の着用が目立つようになりました。

色合わせの仕方

色無地の色は、場の目的に応じて色合せをします。

結婚式のような慶事には、明るく華やかな色を選びます。
慶弔両用にしたい場合は、赤以外の色を選ぶことが必要。

帯締めなどの小物をすべて白で統一し、帯に礼装用のものを合わせれば、留袖と同じ格式にもなります。

最初の色無地を選ぶ際には、渋目の中間色や淡色を選んでおくと、より幅広い場で着られると思います。

紋の入れ方は、一般には紋の部分を白く残す「抜き一つ紋」が基本とされます。
でも色無地の場合には、あとから縫い付ける「縫い一つ紋」にした方が、着用の場が広がります。