7月と8月、盛夏のときだけに使用する着物の生地に、羅(ら)・紗(しゃ)・絽(ろ)があります。
羅と紗・絽はいずれも「搦み織(からみおり)」「捩り織(もじりおり)」と呼ばれる織り方で、布地の隙間が空き、涼しげになるように工夫された織物です。
それではこれらの違いがどのようなものであるかをまとめました。
羅とは?
羅は古くからある織り方で、正倉院にもあるものです。
長らく織り方がわかりませんでしたが、それを復元したとして、北村武資氏が人間国宝として認定されました。
羅を織るには4本の縦糸を複雑に絡ませ、そのあいだをまっすぐに緯糸が通ります。
糸が斜めに渡るため見た目は菱型となり、ねじりに強いのが特徴です。
日本ではこの羅は、冠などに使われていました。
ただし複雑な織り方のため特殊な機織り機を使わなくてはならず、通常の機織り機で織ることができる紗に押され、生産量は減っています。
紗とは?
紗は緯糸を1本ずつ取り、そこに縦糸を2本ずつ絡ませて織り上げるもの。
羅から派生しましたが、特殊な機織り機がなくては織れない羅とくらべ、通常の機織り機で織れるため、平安時代ごろには大流行しました。
現在では雅楽の装束にも使われます。
「紗がかかったような」という言葉は、この紗が、布の向こうがぼんやりと透けて見えることからできた言葉です。
絽とは?
絽は、羅の派生である紗が、さらに変形してできました。
基本的な折り方は羅や紗と共通ですが、絽は7、5、3本おきに、緯糸に2本の縦糸を交差させて織っていきます。
それぞれ七本絽、五本絽、三本絽と呼ばれます。
この絽は、目にすることが一番多いと思います。
隙間のない平織りを織ったあと、隙間のある紗を織るというようにしますので、筋状に隙間ができます。
緯糸で隙間を作る普通の絽のほかに、縦糸で隙間を作る「縦絽」もあります。