着物の仕立てで手縫いとミシン縫いは何が違うの?

着物の仕立てで手縫いとミシン縫いは何が違うの?

着物の仕立ては、もともとは手縫いが基本です。
でも最近では、量産がラクだという理由でミシン縫いも増えています。

両者の違いを理解しておかないと着物を購入してから後悔することになりますので、着物の購入を予定している人はぜひチェックしておきましょう。

違いその1 手縫いなら解いて仕立て直しができる

手縫いとミシン縫いでは、縫い方がまったく違います。

手縫いは、1本の糸で縫います。
そして布に対して、針は斜めに入ります。

それに対してミシン縫いでは、2本の糸を絡ませるようにして縫います。
また針は、布に対して直角に入ります。

ミシン縫いの利点は、丈夫なことです。
しかし着物の場合、この丈夫さが大きな欠点となってしまいます。

着物は、何度も解いては仕立ててを繰り返します。

汚れれば、全部解いて反物の状態にして洗う「洗い張り」をしますし、染め直しも同様に糸を全部解いて行います。

糸をほどいて仕立直しをすれば、上等な生地をきちんと保存した場合には、着物は親子3代で着ることもできます。

この「解いては仕立て直しをする」という着物の利点が、ミシン縫いをした場合にはなくなってしまいます。
ミシン縫いをすると着物の布地に針穴が残り、仕立直しができなくなるからです。

違いその2 手縫いなら縫い目が表に残らない

ミシン縫いの場合には、針が布地を貫通するためにどうしても縫いめが表に残ります。
それに対して手縫いの場合には、表に縫い目を殆ど残さずに縫うことができます。

「本くけ」や「三つ折くけ」という技法で、これらの技法を駆使して和裁士は着物を縫います。
そのため着物は、見た目がやわらかく、やさしい風合いを帯びたものに仕上がります。

違いその3 着物は生地にあった縫い目や糸調子を選べる

着物の生地は、縮緬や紬・羽二重・木綿・ウールなどさまざまです。

生地には柔らかいものと固いものとがあります。
柔らかい生地の場合は縫い目がゆるまないよう細かく、糸をきつくして縫う必要がありますが、おなじ調子で固い生地を縫ってしまうと、縫い目が引きつってしまいます。

生地によって、縫い目と糸調子を違えなければなりません。

ミシンの場合も、もちろん縫い目や糸調子を変化させることはできます。
でも着物をミシン縫いするのは経験の少ない縫い子が多いですから、どうしても縫い目と糸調子が狂ってしまうことになります。

ミシン縫いにはメリットも

ただし着物のミシン縫いは、メリットもあります。
手縫いにくらべて丈夫ですから、着物を丸洗いしても解ける心配がありません。

着物を日常的に着る人は、普段に着る着物は木綿やウールで丸洗いをして……、ということも多いです。
その場合には、ミシン縫いで仕立てた着物が向いています。

着物を購入する際には事前に確認を

着物は仕立て代が安い場合は、直線部分はミシン縫い、曲線部分だけ手縫いと、併用されていることが多いようです。
どの部分にミシンを使ってあるかを明記するならともかくとして、黙ってミシンを使う店もあるとのこと……。

それを知らずに着物を購入、いざ仕立て直しをしようとしたらミシン縫いだからできなかった、などというのは悲しいですね?

着物を購入する際には、事前に手縫いなのかミシン縫いなのかをきちんと確認しましょう。

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